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ASMLを巻き込む米中の半導体競争

今年4月にフランス人のクリストフ·フーケ氏がオランダを拠点とする持ち株会社「ASMLホールディング」のCEOに就任した。米中の半導体競争の渦中にある企業でもある。

フーケ氏の仕事のひとつが、ASMLホールディングの最先端の半導体装置を中国に売らないという、西側諸国(特にアメリカね)の要求に応えつつ、主要事業である最先端ではない装置の市場から中国を締め出さないようにするという、これから、もっとムズくなる舵取りである。

ASMLは長年、政治的制約なんか気にして製品の販売先を考える必要なんぞ無かったが、「突然、それが地球上で、特に重要なトピックになった」と、フーケCEOは語った。

ASMLは、光を利用してシリコンに微細なパターンを印刷する複雑な機械(EUV)を製造している。スマートフォンや、自動車、医療機器、人工衛星など、あらゆるものに搭載されるマイクロチップの製造で重要な役割を担い、AI向け半導体の製造に欠かせない最先端装置では独占的地位をしめている企業である。

こうした技術を持つASMLに対して、米国は中国向け輸出を制限するよう圧力をかけている。中国の経済力やロシア支援を巡る懸念の高まりが背景にある。

ASMLは、極端紫外線(EUV)を使う高性能製品について、すでにオランダの政府から中国向けの輸出を制限されている。

米国も、米国製部品が使われている一部のASML製品を中国の特定の半導体企業に販売することを禁じているほか、最近オランダ政府に対して、一部のASML製品の中国でのアフターサービスを制限するよう要請した。

ASMLは中国と西側諸国の技術競争の渦中という、望まぬ立場にある。

フーケCEO自身は、物理学の修士号を持つ半導体業界のベテランである。同氏は規制が意図せぬ結果をもたらしかねないことに警戒感を示す。ASMLが中国でのアフターサービスをやめても、その装置で半導体を製造するのを妨げられるわけではない。一方で、ASMLは製品がどこで、どう使われているか把握する術がなくなる。そこにいなければコントロールを失うことになる。

ASMLは中国向け輸出の制限強化に身構える。なぜなら半導体サイクルは不況期ながら、中国では、「最先端でない」装置への需要が依然として旺盛で、ASML社の1~3期のシステム売上高の49%を中国が占めた。

フーケ氏は、規制が強化されるほど、中国は先端技術の独自開発を一段と促す可能性がある、と指摘した。

そしてこれは現実となった。中国の華為技術(ファーウェイ)が昨年発表した新型のスマートフォン「Mate 60 Pro」には、米国が、規制で阻止しようとした中国産の先端半導体が使われている。米政府の間では、輸出規制の有効性を巡り動揺が広がったが、米国商務長官は、ファーウェイの半導体は、米国製品より、数年遅れているとの見方を示した。

ファーウェイがしたような先端半導体は、ASMLの高性能装置がなくても製造が可能だが、余分に費用がかかる上、大量生産が難しい。

ASMLの最新システム「High NA EUV」は、価格が、3億5000万ユーロ(約590億円)以上で、米国半導体大手インテルが真っ先に購入した。

ASMLによると、次の新技術では、さらに微細なプリントが可能になるかもしれないとのこと。